これまで世界のGⅠレースや重賞レースで勝利したディープインパクト産駒をご紹介してきましたが、今日が最終回です。
ディープインパクト産駒が重賞を勝利した国や場所
まず、ディープインパクト産駒が重賞を勝利した国の一覧です。
- アイルランド
- イギリス
- フランス
- ドバイ
- 香港
- 日本
- オーストラリア
- アメリカ
これまでも言いましたが、要するに海外のビッグレースが開催されている場所です(笑)。
海外の大レースで勝利を収めたディープインパクト産駒
そして、以下が2023年10月19日現在、世界のGⅠレース、重賞レースを勝利したディープ産駒の一覧です。
海外のGⅠレース、重賞レースを制したディープインパクト産駒 28頭
GⅠ勝ち馬5頭
スタディオブマン、ビューティパーラー、ファンシーブルー、プロフォンド
オーギュストロダン
重賞勝ち馬4頭
バルタバ、ハラジュク、ドラムロール、ムラマサ
GⅠ勝ち馬13頭
ヴィブロス、エイシンヒカリ、グローリーヴェイズ、サクソンウォリアー
ジェンティルドンナ、トーセンスターダム、フィアースインパクト
リアルインパクト、リアルスティール、ラヴズオンリーユー、
スノーフォール、シャフリヤール、グリントオブホープ
重賞勝ち馬6頭
アキヒロ(改名してスティミュレーション)、アクアマリン、キズナ、ジェニアル、サヴァラン、マカヒキ
今回は日本産馬のうち、主に日本で活躍した(している)産駒をご紹介します。要するに、海外遠征して勝利を収めた馬たちです。
まずは海外のGⅠレースで勝利した馬から。紹介する順番はアイウエオ順で、特に順番に意味はありません。
主に日本で活躍した(している)日本産馬
馬名の前に👑のマークがついているのは、海外のGⅠ勝ち馬です。
👑トーセンスターダム
まずはプロフィールをご紹介します。
トーセンスターダム
2011年3月14日生
父 ディープインパクト 母 アドマイヤキラメキ 母父 エンドスウィープ
馬主 島川隆哉さん 池江泰寿厩舎所属
通算成績 26戦4勝(日豪通算成績)
主な勝鞍 2017年トゥーラックハンディキャップ(GⅠ)、2017年エミレーツステークス(GⅠ)、2014年チャレンジカップ(GⅢ)
トーセンスターダムは、2012年のセレクトセールで2億6,250万円で落札されました。
デビューから3連勝できさらぎ賞(GⅢ)を制し、クラシック戦線での活躍が大いに期待されていました。
しかし、残念ながらクラシックレースでは思うような結果を残すことができませんでした。
ダービーの内ラチにぶつかってしまったアクシデントはよく覚えています。
4歳の春にオーストラリアに遠征し、GⅠのランヴェットステークスで2着に入ります。
この時にオーストラリアとのご縁ができたのでしょうね。
帰国した後、主に重賞で6戦しますが、上位には来られず。
2016年2月の東京新聞杯を最後に、オーストラリアに移籍しました。
日本では残念ながらGⅠで勝利することはできませんでしたが、オーストラリアに移籍した後にGⅠ2勝を挙げました。
そして、2018年4月のレースを最後に引退し、現在は種牡馬になっています。
オーストラリアに移籍してからは、怪我をしたり、体調が整わなかったりして、しばらく休養していた時期もあったようです。
でも、GⅠ2勝という成績を挙げて、種牡馬入りできたのはとてもよかったと思います。
これからもオーストラリアで良い仔を出してほしいです。
👑リアルインパクト
リアルインパクトには本当に驚かされました。以下のページに詳しく書いていますが。
リアルインパクトが海外に遠征したのは一度だけです。7歳になって、オーストラリアのGⅠに参戦しました。
リアルインパクトはなんと3歳時に安田記念を制しました。
その後はスランプの時期もあったのですが、5歳時と6歳時に阪神カップを連覇。この間のレースの成績を見ると、この連覇もちょっと謎(笑)。
7歳春にオーストラリアに遠征し、初戦のジョージライダーステークスで優勝。
次走のドンカスターマイル(GⅠ)でも2着になっています。
この時はワールドエースも遠征していましたが、残念ながら上位には来られず。
リアルインパクトは2015年11月のレースを最後に引退し、日本で種牡馬入りします。
オーストラリアでのレース成績が評価されて、同国でシャトル供用されました。
2016/2017年シーズン、2017/2018年シーズン、2018/2019年シーズンと3年連続で種付けをしています。
その時の産駒がオーストラリアでも続々と勝ち上がっており、先日は香港でも初勝利を挙げました。
日本のみならず、海外でも産駒の活躍を楽しみにしたいと思います。
以下の写真は、豪州で活躍しているリアルインパクト産駒、Count De Rupeeです。
A tender moment between COUNT DE RUPEE (Real Impact) and his strapper after the @Lpriceracing-trained horse won the $1m The Gong at @kemblaraces today.
A trademark outstanding photo from @LisaGrimm9!#LoveTheHorse pic.twitter.com/fphiXrHxm4
— ANZ Bloodstock (@anz_news) November 20, 2021
👑リアルスティール
リアルスティールをこのブログでご紹介するのは初めてなので、まずはプロフィールを記しておきます。
リアルスティール
2012年3月1日生
父 ディープインパクト 母 ラヴズオンリーミー 母父 Storm Cat
馬主 サンデーレーシング 矢作芳人厩舎所属
通算成績 17戦4勝
主な勝鞍 2016年ドバイターフ(GⅠ)、2017年毎日王冠(GⅡ)、2015年共同通信杯(GⅢ)
海外での勝利レース: 2016年 ドバイターフ(GⅠ)
リアルスティールはデビュー2戦目で共同通信杯を制し、クラシックでの活躍が大いに期待されました。
ただ、この時は本当に相手が悪かったというか・・・。
皐月賞とダービーはドゥラメンテに、菊花賞はキタサンブラックに負けてしまいました。上位には来ているんですが。
4歳になってドバイに遠征し、ムーア騎手を鞍上に迎えて、見事ドバイターフで優勝。念願のGⅠ勝利となりました。
この時、矢作調教師がとても喜んでおられたのが印象に残っています。
ディープブリランテでのイギリス遠征など、海外では悔しい思いもされてきていましたからね・・・。
この後、残念ながら日本でGⅠ勝利は挙げられず。
2018年にドバイに再び遠征し、ドバイターフに出走しましたが、3着でした。
ちなみに2着はヴィブロスです。ヴィブロス、すごすぎ!
リアルスティールは2018年、安田記念に出走したのを最後に引退し、種牡馬になっています。
リアルスティールは世界的な超良血馬で、仏ダービー馬のStudy Of Manとも近い血統です。
種牡馬としての活躍を大いに期待したいです。
キズナ
海外での勝利レース: 2013年 ニエル賞(GⅡ)
キズナはご存知の通り、日本ダービーを勝ったGⅠ馬です。
ただ、海外でのGⅠ勝利はなかったので、このページでは「重賞勝ち馬」という扱いにしています。
キズナはダービーで勝利した後、3歳秋にフランスに渡り、凱旋門賞に出走しました。
その前哨戦がニエル賞で、その年のイギリスダービー馬、ルーラーオブザワールドを下したということで話題になりましたね。
本番の凱旋門賞は4着でした。この年の同レースにはオルフェーヴルも参戦しており、2着。
勝ち馬はトレヴで、2着に5馬身差ですから、勝ち馬が強かったというレースでしたね。
この後、ディープ産駒が何頭か凱旋門賞に出走しましたが、3歳時に4着だったというのは健闘したほうだと思います。
3歳時に日本でGⅠを勝ち、海外でも重賞レースで優勝するというのは、もっと称えられてもよいことでしょう。
キズナが海外に遠征したのは、3歳時だけでした。
キズナは2015年の天皇賞春に出走した後、引退。現在は種牡馬になっています。
産駒は大活躍しており、勝ち上がり率もとても良いようです。現在はディープの後継種牡馬の筆頭とも言える存在ですね。
これからも元気で、末永く良い仔を出し続けてほしいです。
マカヒキ
実は、このマカヒキの項目は2021年3月19日に書いています。
はい、前日までマカヒキが海外で重賞を勝っていたことを、すっぽり見落としていたんです💦
それには理由があるんですが、後でお話ししようと思います。
このブログでマカヒキについて書くのは初めてですので、まずはプロフィールをご紹介します。
マカヒキ
2013年1月28日生
父 ディープインパクト 母 ウィキウィキ 母父 フレンチデピュティ
馬主 金子真人ホールディングス 友道康夫厩舎所属
通算成績 22戦5勝
主な勝鞍 2016年日本ダービー(GⅠ)、2016年弥生賞(GⅡ)
海外での勝利レース: 2016年 ニエル賞(GⅡ)
マカヒキもキズナと同じように、日本ダービーを勝ったGⅠ馬です。
ただ、海外でのGⅠ勝利はなかったので、このページでは「重賞勝ち馬」という扱いにしています。
マカヒキは2016年に日本ダービーに勝利した後、3歳でフランスに渡り、凱旋門賞に挑戦しました。
その前哨戦のニエル賞で勝利を収め、海外での重賞制覇を成し遂げたのです。
ただ、本番の凱旋門賞では14着と大敗。
とても期待していたので、凱旋門賞の結果を見て、息が止まるほどのショックを受けました。
それでおそらく、マカヒキの海外遠征のことを考えるのがつらくなって、ニエル賞で勝ったことも記憶から抜け落ちたものと思われます(苦笑)。
マカヒキは8歳になった今年も現役を続けています。
2017年から2018年にかけて、レース間隔が8ヶ月ほど空いたので、出走したレースも22戦とそれほど多いわけではありません。
早く引退して種牡馬になったほうがよいという声もあるようですが、私はそうとも言い切れないと思います。
金子オーナーは所有馬をできるだけ長く手元に置いて、面倒をみたいと考えていらっしゃるのではないかと思います。
牝馬のデニムアンドルビーも、屈腱炎による長期休養もありましたが、8歳まで現役を続けていました。
マカヒキもデニムアンドルビーも十分に実績を出した馬なので、引退しても心配はないかもしれません。
でも、自分が所有した馬ならば、できるだけ長く手元に置きたいというのも愛情の一つの形ではないかと思います。
同期だったサトノダイヤモンドやディーマジェスティをはじめ、日本国内にはディープ系の種牡馬がたくさんいます。
そのなかで、マカヒキが早く引退したところで、種牡馬としての活躍の可能性が変わるとは思えないんですよね・・・。
そうは言っても、なにせ8歳ですから、現役でいるのもそれほど長いことではないでしょう。
最後まで無事に走りきってほしいと願っています。
👑 ラヴズオンリーユー
新たにディープ産駒の海外GⅠ勝利馬が誕生しました🎉
ラヴズオンリーユーが、4月25日に香港のシャティン競馬場で開催されたクイーンエリザベス2世カップで優勝しました!
ラヴズオンリーユーをこのブログでご紹介するのは初めてなので、まずはプロフィールを記しておきます。
ラヴズオンリーユー
2016年3月26日生
父 ディープインパクト 母 ラヴズオンリーミー 母父 Storm Cat
馬主 DMMドリームクラブ 矢作芳人厩舎所属
通算成績 16戦8勝
主な勝鞍 2019年東京優駿牝馬(GⅠ)、2021年QE2世カップ(GⅠ)
2021年BC フィリー&メアターフ(GⅠ)、香港カップ(GⅠ)
海外での勝利レース: 2021年 QE2世カップ(GⅠ)、2021年BC フィリー&メアターフ(GⅠ)、2021年 香港カップ(GⅠ)
プロフィールを見て、ん?どこかで見たような・・・と思われた方も多いでしょう。
そう、このページでも紹介したリアルスティールの全妹なんですね。
これまでに兄弟で海外のGⅠレースを制したのは、リアルインパクトとネオリアリズムだけだったそうです。
リアルインパクトとネオリアリズムは父親が違います。
リアルスティールとラヴズオンリーユーは、全兄妹で海外のGⅠレースを制した初めての例ということになります。
ラヴズオンリーユーは3歳時、無敗でオークスを制しました。
その後の活躍が大いに期待されていましたが、昨年は思うような結果が残せませんでした。
昨年3月にドバイのレースに出走すべく遠征しましたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響でレースが開催されず。
帰国してからも、実力を出しきれないレースが続きました。
しかし、2021年の初戦の京都記念で久しぶりに勝利。
昨年の忘れ物を取りに、今年もドバイに遠征し、ドバイシーマクラシックに出走します。
残念ながら3着に終わりましたが、勝ち馬のMishriffと2着のクロノジェネシスの着差はクビ。
クロノジェネシスとラヴズオンリーユーの着差もクビで、勝ち馬とはそれほど離れていないんですよね。
激しい競り合いの末の3着で、本格的な復活の兆しを感じさせました。
ラヴズオンリーユーは次の目標を香港のクイーンエリザベス2世カップに定め、1頭でドバイに残り、調整を続けました。
🎊海外GⅠ勝利🎊
[ #ラヴズオンリーユー ]が
4月25日(日)に
香港・シャティン競馬場で行われた
クイーンエリザベス2世カップ(GI)で優勝しました!これからも応援よろしくお願いいたします📣
DMM バヌーシー#バヌーシー所属馬勝利画像🏅 pic.twitter.com/oI9GRKuGZM
— 【公式】DMM BANUSY (@dmm_banusy) April 26, 2021
この調整がとてもうまくいったのでしょうね。
ツイッターに、
「ドバイが快適すぎて、めっちゃごはん食べてた」
というエピソードが紹介されていました。
前々から思っていたのですが、ドバイって馬が滞在するのにとても良いところみたいですね。
あの小柄なヴィブロスが活躍できたのも、そのおかげもあると思います。
特に牝馬には良い環境なのではないかと思います。
ラヴズオンリーユーは香港入りしてから、体がすごく良く見えて、レースが楽しみでした。
このレースには7頭が出走。
日本からはラヴズオンリーユーを含め、4頭のGⅠホースが出走し、残りは香港馬でした。
新型コロナウイルスの影響で、他の国からは参加できなかったようです。
最後は3冠牝馬のデアリングタクト、グローリーヴェイズとの激しい競り合いになりましたが、ラヴズオンリーユーが最後抜け出して見事に勝利。
待望のGⅠ2勝目を海外で達成しました。
— Vincent Ho (@Vincenthocy) April 25, 2021
ホー騎手のこの「ラヴ」マークがすごくかわいかった❤
2着にはディープ産駒のグローリーヴェイズが入り、1着から4着までを日本馬が独占する結果になりました。
グローリーヴェイズは香港に入ってから、現地の獣医さんに右前脚の跛行が指摘され、経過観察になりました。
結局は無事レースに出走できてよかったです。香港の主催者のチェックはとても厳しいそうです。
グローリーヴェイズはスタート時に出遅れてしまい、最後の直線では猛然と追い上げてきましたが届かず。
でも、2019年に香港ヴァーズで優勝しているように、香港の競馬場が合っているようですね。
よく頑張ってくれたと思います。
👑シャフリヤール
まずプロフィールを紹介します。
シャフリヤール
2018年4月13日生
父 ディープインパクト 母 ドバイマジェスティ 母父 Essence of Dubai
馬主 サンデーレーシング 藤原英昭厩舎所属
2022年4月1日現在通算成績 6戦3勝
主な勝鞍 2021年東京優駿(GⅠ)、2022年ドバイシーマクラシック(GⅠ)
海外での勝利レース: 2022年 ドバイシーマクラシック(GⅠ)
2017年の皐月賞、2019年の大阪杯を勝ったアルアインの全弟です。
2021年のダービー馬、シャフリヤール。
ダービー馬が海外のGⅠを勝利したのはシャフリヤールが初めてです。
“It would be a dream for me to take SHAHRYAR to the Prix de l’Arc de Triomphe. It is the race we want to win and it would mean so much to be able to take him there. That is our ambition and our aim.”
– Hideaki Fujiwara, trainer.#dwc22 pic.twitter.com/QHfkirW2hC
— Dubai Racing Club (@RacingDubai) March 30, 2022
昨年のジャパンカップで3着になった後休養に入り、ドバイシーマクラシックが今年の初戦でした。
本当にごめんなさい、ごめんなさいなんですけど、今回実はあまり期待していなかったんです。
今季初戦で海外ですし、ドバイについてから体重が減ったというニュースも耳にしていたので。
でも、クリスチャン・デムーロ騎手を背に見事に折り合って、最後に日本馬のオーソリティをかわしました。
後方からのユビアーの猛追もしのぎきりました。
強さを再確認してとても嬉しかったです。
ユビアーの強さを称える声も多いのですが、デムーロ騎手は
見た目より楽なレースだった
と言っています。
賢くレースの流れに乗って、勝利をもぎとったシャフリヤールも十分に称えられる資格があります。
管理する藤原調教師は、今後凱旋門賞への出走を視野に入れているとか。
シャフリヤールはディープ産駒のなかでも特に軽い馬場を得意としていると思うので、うーん、どうなんだろう。
今回ダービー馬が初めて海外GⅠを勝ったというのも、これまでは皆凱旋門賞に出走していたからとも言えますしね。
でも、藤原調教師には長い距離ばかり走っていたトーセンラーを、マイルGⅠで見事に勝たせた実績もあります。
狙ったレースに合わせた調教が高く評価されている調教師さん。
藤原調教師ならひょっとして・・・という期待も抱かせます。
ジャパンカップやブリーダーズカップの名前も挙げられていました。
だから、現段階では凱旋門賞も候補の一つという可能性もあります。
でも、軽い馬場を得意とするシャフリヤールが、今回ドバイのレースで勝ったというのは素晴らしいですね。
1年に2回も海外遠征なんて大変だなあと思います。
そう思ったらやってのけた仔がいましたわ、上で紹介した仔なんですけども(笑)
今後どのようなプランになろうとも元気で走り続けてほしいです。
そして、引退後は立派な種牡馬になってほしいと願っています。
これで、海外の重賞レースで勝利を収めたディープ産駒のご紹介を終わります。
残り少ない世代ではありますが、このメンバーに1頭でも多くの産駒が加わることを願ってやみません。