以下の記事で、海外にいるディープ系種牡馬を紹介しました。
海外にいるディープインパクト系種牡馬 めざせ、世界征服!?その2
海外にいるディープインパクト系種牡馬 めざせ、世界征服!?その3
最近では、ディープ系種牡馬のシャトル供用も増えてきました。
シャトル供用は、北半球と南半球の繁殖シーズンの違いを利用しています。
サラブレッドの種付けの時期は冬です。
北半球で繋養されている種牡馬が冬に種付けを行った後、北半球の夏に南半球に渡り、現地で種付けをします。
南半球にいる種牡馬についても同じです。
今日は、シャトルされたディープ系種牡馬について書きます。
シャトル先: オーストラリア
オーストラリアでは日本で繋養されている種牡馬と、通常は欧州にいる種牡馬がシャトル供用されています。
まず、日本の種牡馬から紹介します。
リアルインパクト
リアルインパクトは2016年に現役を引退。
現役時、7歳でリアルインパクトはオーストラリアに遠征。
初戦のGⅠのジョージライダーステークスで見事勝利を収めます。
さらに、次戦のGⅠ、ドンカスターマイルでも2着でした。
引退後は社台スタリオンステーションで種牡馬入り。
2021年からは優駿スタリオンステーションで種付けをしています。
2016/2017年、2017/2018年、2018/2019年の各シーズンに、3年連続でオーストラリアでもシャトル供用されました。
繋養先はArrowfield Stud。
種付け料は19,250豪ドルでした。
Count De Rupee 2017年生 騸馬
主な勝鞍: 2022年Tab Victory Stakes (GⅡ)、2021年The Tab Gong
Lunar Impact 2017年生 牝馬
主な勝鞍: 2021年City Of Belmont-Wa Oaks (GⅢ)
残念ながら、Count De Rupeeは2022年8月に亡くなりました。どうか安らかに。
ミッキーアイル
ミッキーアイルは2016年に現役を引退。
引退後は社台スタリオンステーションで種牡馬になっています。
ミッキーアイルも、リアルインパクトと同じく3年連続でオーストラリアでシャトル供用されました。
2017/2018年、2018/2019年、2019/2020年の各シーズンにオーストラリアに滞在。
繋養先はArrowfield Stud。種付け料は13,750豪ドルでした。
Dragonstone 2018年生 騸馬
主な勝鞍: 2022年Bob Charley AO Stakes (リステッドレース)
残念ながら豪州の産駒はまだ重賞を勝てていません。今後の活躍に期待したいです。
リアルスティール
リアルスティールは2018年に現役を引退。
引退後は社台スタリオンステーションで種牡馬になっています。
今年デビューした2歳世代が初年度産駒です。
2019/2020年シーズンにオーストラリアでシャトル供用されました。
繋養先はArrowfield Stud。種付け料は16,500豪ドルでした。
豪州のリアルスティール産駒はまだデビューしていません。
こうして日本から豪州に渡ったディープ系種牡馬を見ると、リアルインパクトの評価が高いと感じます。
やはり、現地でGⅠを勝っているのが大きなセールスポイントになっているのでしょうか。
このほか、2020/2021年シーズンには、アルアインがヴィクトリア州のChatswood Studで繋養される予定でした。
しかし、コロナウイルスの感染拡大の影響により、アルアインは豪州に向かうことができませんでした。
次に、欧州から豪州に渡り、シャトル供用されている種牡馬を紹介します。
Saxon Warrior
Saxon Warriorは2018年に現役を引退。
引退後はアイルランドのCoolmore Studで種牡馬入りしました。
豪州でも4年連続でシャトル供用されています。
2019/2020年、2020/2021年、2021/2022年、2022/2023年の各シーズンに豪州に滞在。
アルアインが豪州に行けなかった2020年にも、Saxon Warriorは同国に移動しました。
2019年度 30,000豪ドル
2020年度 17,600豪ドル
2021年度 13,750豪ドル
2022年度 19,250豪ドル
欧州で生産されたSaxon Warriorの初年度産駒は2022年にデビュー。
すでにGⅠ馬も出ています。
*2023年4月27日追記
Coolmore Australiaが、2023年度の種牡馬のリストと種付け料を発表しました。
昨年まで4年連続で豪州にシャトルされていたサクソンウォリアーは、リストに入っていません。
そろそろお休みをもらってもいい頃ですかね。
シャトル先: ニュージーランド
ニュージーランドでは、サトノアラジンがシャトル供用されています。
サトノアラジン
このブログでサトノアラジンについて書くのは初めてなので、まずはプロフィールを紹介します。
サトノアラジン
2011年2月16日生
父 ディープインパクト 母 マジックストーム
母父 Storm Cat
全姉に2014年のエリザベス女王杯で優勝したラキシス、全妹にフローレスマジックがいます。
サトノアラジンは2013年8月の新馬戦で勝利を収めました。
素質の高さからGI制覇を期待されていましたが、なかなか達成することができませんでした。
しかし、6歳になって、2017年の安田記念で待望のGI勝利。
同年12月の香港マイルを最後に、現役を引退しました。
引退後は社台スタリオンステーションで種牡馬入り。
2023年度はブリーダーズ・スタリオン・ステーションで繋養されることが発表されました。
サトノアラジンは2018年、2019年、2021年、2022年にニュージーランドに渡り、シャトル種牡馬として供用されています。
繋養先はRich Hill Stud。
アルアインと同じように、2020年にもニュージーランドに渡る予定でした。
しかし、コロナウイルスの感染拡大の影響により、予定が取りやめになりました。
Sacred Satono 2019年生 牡馬
主な勝鞍: 2022年Mitchell Family Bonecrusher Stakes (NZ GⅢ)、2023年Counties Bowl (NZ GⅢ)
Pennyweka 2019年生 牝馬
主な勝鞍: 2023年Al Basti Equiworld New Zealand Oaks (NZ GⅠ)
2023年The Star Australian Oaks (豪州GI)
Tokyo Tycoon 2020年生 騸馬
主な勝鞍: 2023年Matamata Slipper (NZ GⅢ)
現在までのところ、サトノアラジンは日本で重賞勝ち馬を出していません。
しかし、ニュージーランドで生産された産駒は、初年度産駒も2世代目も重賞を制しました。
南半球の競馬への適性が高いと思われるので、今後の産駒の活躍が楽しみです。
2018年、2019年度、2021年度、2022年度 12,500NZドル
2023年度 45,000NZドル
2024年度 65,000NZドル
*2023年4月18日追記
今年もサトノアラジンが、シャトル種牡馬としてニュージーランドに向かうことが発表されました。
繋養先はこれまでと同じRich Hill Studです。
南半球でデビューした2世代の活躍を受けて、2023年度の種付け料は約3.5倍アップしました。
シャトル先: アイルランド
ここまでは、北半球から南半球へのシャトルでした。
ここからは南半球から北半球に移動する種牡馬を紹介します。
トーセンスターダム
2022年12月に嬉しいニュースが入ってきました。
豪州で繋養されているトーセンスターダムが、2023年度はアイルランドでシャトル供用されるということです。
繋養されるのは、County Westmeath Farm内に新設されるZenith Stallion Station。
種付け料は7,000ユーロ。
関係者はトーセンスターダムの血統の良さに注目したそうです。
今回のシャトル供用には、ドバイの弁護士であり、オーナーブリーダーでもある方が関わっているとのこと。
ドバイのクラシックレースに出られるような産駒を生産したいと語っています。
トーセンスターダムには、豪州よりもヨーロッパの競馬の方が合う可能性もあります。
また、ディープ産駒はドバイでも良績を挙げています。
まずは元気で、良い仔を出してほしいと思います。
Yesterday we bid farewell to our dual Group 1 winner #TosenStardom (Deep Impact) who departed @Woodside_Park to spend the northern hemisphere covering season in Ireland – but don’t worry, he’ll be back!! 🇯🇵 🇦🇺 🇮🇪 pic.twitter.com/5RLXWf3JtU
— Woodside Park Stud (@Woodside_Park) December 21, 2022
*2023年4月27日追記
豪州でトーセンスターダムを繋養していたWoodside Park Stud。
2023年度の種牡馬のリストと種付け料を発表しましたが、トーセンスターダムはリストに入っていません。
報道によると、トーセンスターダムはシャトル期間が終了しても、欧州にとどまる可能性が高いとのこと。
繋養される牧場など、詳細はわかっていません。
また情報が入りましたら追記します。
*2023年10月5日追記
トーセンスターダムは、2024年もアイルランドのZenith Stallion Stationに種牡馬として繋養されることが発表されました。
詳しくは、
をご覧ください。
以上、シャトル供用されているディープ系種牡馬を紹介しました。
豪州で生産された仔たちは、シンガポールやマカオなど、意外な場所でレースに出走していることがあります。
血の広がりという点でも楽しみです。