先日、ディープインパクトってどんな馬?という文章を書いて、ディープについて簡単に紹介しました。
今日は、ディープが現役時代に出走したレースを紹介します。
残念ながら、ここにレース動画を貼ることはできません。
でも、ディープのレースはYoutubeなどにもたくさんアップされていますので、簡単に見つかります。
今はJRAの公式チャンネルにも、ディープのことを「究極のサラブレット」と銘打って、日本で出走した13レースの動画がアップされています。
【未来に語り継ぎたい名馬】シリーズで、ディープだけでなく、ジャスタウェイ、カネヒキリ、エルコンドルパサーなど名馬のレース動画がアップされています。
JRA、このまま【未来に語り継ぎたい名馬】シリーズの動画を残しておいてくれるといいですね。
ディープインパクトの競走成績
ここで、ディープインパクトの競走成績を振り返ります。
12/19 阪神 新馬戦 2000m 1着 2着馬 コンゴウリキシオー 4馬身差
ディープの走破タイム 2:03:8 上がり3ハロン 33.1
1/22 京都 若駒ステークス(OP) 2000m 1着 2着馬 ケイアイヘネシー
5馬身差 タイム 2:00:8 上がり3ハロン 33.6
3/6 中山 弥生賞(GⅡ) 2000m 1着 2着馬 アドマイヤジャパン クビ差
タイム 2:02:2 上がり3ハロン 34.1
4/17 中山 皐月賞(GⅠ) 2000m 1着 2着馬 シックスセンス 2馬身半差
タイム 1:59:2 上がり3ハロン 34.0
5/29 東京 日本ダービー(GI) 2400m 1着 2着馬 インティライミ 5馬身差
タイム 2:23:3 上がり3ハロン 33.4
9/25 阪神 神戸新聞杯(GⅡ) 2000m 1着 2着馬 シックスセンス 2馬身半差
タイム 1:58:4 上がり3ハロン 34.1
10/23 京都 菊花賞(GⅠ) 3000m 1着 2着馬 アドマイヤジャパン 2馬身差
タイム 3:04:6 上がり3ハロン 33.3
12/25 中山 有馬記念(GⅡ) 2500m 2着 勝ち馬 ハーツクライ 1/2馬身差
勝ち馬のタイム 2:31:9 ディープの上がり3ハロン 34.6
3/9 阪神 阪神大賞典(GⅡ) 3000m 1着 2着馬 トウカイトリック 3馬身半差
タイム 3:08:8 上がり3ハロン 36.8
4/30 京都 天皇賞(春)(GⅠ) 3200m 1着 2着馬 リンカーン 3馬身半差
タイム 3:13:4 上がり3ハロン 34.9
6/25 阪神 宝塚記念(春)(GⅠ) 2200m 1着 2着馬 ナリタセンチュリー
4馬身差 タイム 2:13:0 上がり3ハロン 33.5
10/1 仏ロンシャン 凱旋門賞(GⅠ) 2400m 失格
11/26 東京 ジャパンカップ(GⅠ) 2400m 1着 2着馬 ドリームパスポート
2馬身差 タイム 2:25:1 上がり3ハロン 33.5
12/24 中山 有馬記念(GⅠ) 2500m 1着 2着馬 ポップロック 3馬身差
タイム 2:31:9 上がり3ハロン 33.8
馬場は阪神大賞典と宝塚記念が稍重、その他のレースは良でした。
- 国内では13戦12勝。3歳時の有馬記念で国内唯一の敗戦(1/2馬身差の2着)
- 国内全戦で上がり最速
- 無敗で3冠達成。シンボリルドルフに続き2頭目。
- 出走した全レース1番人気。最高のオッズは1.3倍(皐月賞、2005年有馬記念、ジャパンカップ)。最低オッズは1.0倍(菊花賞)
レーススタイルや、レース時のちょっと意外な特性については、ディープインパクトってどんな馬?に書きました。
こんな人にお勧め ディープインパクトのこのレース
ここからは、ディープの各レースについて書きます。
「このレースはこんな人にお勧め」という感じでまとめていこうと思います。
一つのカテゴリーに複数のレースが入ることもあると思うんですけど。
私はディープのファンなので、勝ったレースだけを対象にします。
- デビューの時はどうだったのか知りたい人 → 新馬戦
- とにかく強さが見たい人、スカッとしたい人 → 若駒S、天皇賞春
- 珍しい接戦が見たい人 → 弥生賞
- ハラハラしたい人 → 皐月賞、菊花賞
- 華やかなレースが見たい人 → 日本ダービー
- ドラマを感じたい人 → ジャパンカップ
- ディープの完成形を見たい人 → 2006年有馬記念
- ディープって道悪はどうだったのかが知りたい人 → 宝塚記念
- 実は出走前にいろいろあったレースが見たい人 → 神戸新聞杯
- 実は大変なコンディションだったレースが見たい人 → 阪神大賞典
分類するのに苦労するかと思っていたら、割とあっさり決まりましたね。まあ、12戦しかないですしね。
デビューの時はどうだったのか知りたい人 → 新馬戦
すいません、なんか当たり前のこと書いて(笑)。
でも、ディープは最初からすごかったです。
レーススタイルも最初は後ろから行って、直線で他馬を抜き去り、大差をつけるというもの。
2004年12月19日阪神競馬場の2000mの新馬戦でデビューしました。上がりタイムは2.03.08、上がり33.1。
タイムは馬場状態に左右されるというものの、特に上がりタイムは速かったんじゃないでしょうか。
今とは新馬戦の時期などが違いますが、若干遅めのデビューではありました。
レースを見ると、スカーッとする感じがありますよね。輝かしい未来を感じさせる新馬戦でした。
このレースの後、ノーザンファーム代表の吉田勝己さんが、金子オーナーに引退後は社台スタリオンステーションで種牡馬にすることを打診したとか。
新馬戦を見ただけで!
新馬戦を強い勝ち方をしても、その後が続かないという馬も結構いますが、ディープは違う印象を与えたんでしょうか。
とにかく強さが見たい人、スカッとしたい人 → 若駒S、天皇賞春
ディープインパクトって一体どのぐらい強かったのか知りたいという方にお勧めなのが、若駒ステークスと天皇賞春です。
「まあ、とにかくレース映像を見てください」で終わりにしてもいいぐらいなんですが。見ればわかるので。
若駒ステークスは3歳時のオープンレースで、振り返ると相手もそれほど強いわけではありません。
でも、直線に入ってからの伸び、他馬を突き放して圧勝する姿は強いの一言です。
レース映像は直線で一度カメラが切り替わります。
見るたびに、「カメラを切り替えずにそのまま見せてくれてたらいいのに!」といつも思います(笑)。
そのまま移してくれていたら、他馬を抜き去るところがもっとわかりやすかったので。
若駒ステークスは、爽快感という意味でも一番のレースでしょう。
天皇賞春は、馬場鉄志アナウンサーのゴール直後の実況、
ハーツクライよ、ハリケーンランよ、待っていろ!!
が有名ですね。
2005年有馬記念でディープに勝ったハーツクライ。
ディープはこの後フランスの凱旋門賞への出走が予定されていました。その凱旋門賞で手強いライバルになると思われたハリケーンラン。
馬場アナウンサーは天皇賞春でのディープの素晴らしい走りを見て、ディープが「あの2頭には負けないぞ!」と言っているように感じたのでしょうか。
天皇賞春は、ディープのレースのなかでも最も美しいレースだと思います。
当日はとても天気がよくて、京都競馬場の芝も青々としていてきれいでした。
最後の直線でいつもより早めに先頭に立ち、他馬をよせつけずにゴールする姿は本当に美しいです。
ぜひ見ていただきたいです。
珍しい接戦が見たい人 → 弥生賞
ディープはある程度の着差をつけて勝つレースがほとんどでした。唯一と言っていいぐらいの接戦が弥生賞です。
ディープの功績を称えて、「ディープインパクト記念」という名称が追加されたレースですね。
これから始まるハードなクラシック戦を見据えて、弥生賞には強い調教をせずに臨んだということです。
ディープは小柄だったので、馬体重がこれ以上減らないようにしたり、脚元の消耗を防ぐという意味もありました。
今は賞金さえあれば、GⅠレースに直行するというパターンも珍しくありません。
でも、ディープが現役だった当時は、賞金があっても、GⅠレースの前には重賞レースなどの前哨戦に出走するというのがパターンでした。
ディープが今の時代の競走馬だったら、出走したレースの数はもっと少なかったかもしれませんね。
ハラハラしたい人 → 皐月賞、菊花賞
スリルを味わいたい人、ハラハラしたい人にお勧めなのが皐月賞と菊花賞。
個人的にはスリルもハラハラも苦手なんですけど(笑)。
皐月賞は、それまで無敗で来ていたディープが「負けるならこのレースだろう」と言われていたレースです。
同じく中山競馬場で行われた弥生賞のレースぶりを見て、「中山はディープに合わない」と思われたようです。
オッズ1.3倍の一番人気で出走したものの、スタート時につまづいて、バランスを大きく崩し、武騎手が落馬しそうになるアクシデントが発生。
でも、そのアクシデントがなかったかのように、2着のシックスセンスに2馬身半の差をつけて圧勝します。
レース映像を見ていても当たり前に勝っているので、ついつい「そんなもんか」と思ってしまいます。
でも、競馬に詳しい方によると、「普通の馬なら勝てないレース」だということです。
皐月賞のスタートで武騎手が落馬していたら、無敗の3冠達成はありませんでしたね💦
武騎手の有名なコメント、
この馬はすごいですね。走っているというより、飛んでいる感じ。
が出たのが、この皐月賞のレース後でした。
この時から、ディープの走りを形容する表現として、「飛ぶ」という言葉が使われるようになりました。
菊花賞は無敗の3冠がかかった3000mのレース。
それまでのレースでは、走りたい気持ちが強すぎて、最初から全力で走ろうとしていたディープ。
でも、そのように「かかった」状態だと、長丁場の3000mは持ちません。
そこで陣営は、夏に札幌競馬場で我慢を覚えさせるための調教をしました。
その様子はNHK特集の「ディープインパクト~無敗の三冠馬はこうして生まれた」に収められています。
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で、その調教の成果がレースに現れたかというと、残念ながらそうではありませんでした(苦笑)。
菊花賞では珍しく速いスタートを決めたディープ。
でも、その後見事にかかってしまい、武騎手は他馬の後ろにディープを誘導して、なんとかなだめようとします。
かかっていた距離もけっこうあったので、最後までスタミナが持つのか不安になりました。
直線に入るところでは、先頭近くにいたアドマイヤジャパンと横山典弘騎手がいい感じに抜け出します。
果たしてアドマイヤジャパンを捕まえられるのか、ディープ!というところで、残りはレース映像をご覧ください(笑)。
最初からヒヤヒヤ、ドキドキのレースです。無敗の3冠がかかった大一番なのに。
華やかなレースが見たい人 → 日本ダービー
日本ダービーは、競馬関係者にとって特別なレースだと言います。
有望な牡馬がいれば、日本ダービーに出走させることをまず目標にするそうです。
ディープを管理していた池江泰郎調教師は、ステイゴールドやメジロマックイーンなど、数々の名馬を育てたベテランの調教師でした。
でも、日本ダービーで管理馬が勝利したことはなく、日本ダービーで管理馬が勝利を収めることが大きな夢でした。
そして、ディープという逸材を得て、究極の仕上げを施して日本ダービーに出走させます。
ディープもその仕上げに応えて、2着のインティライミに5馬身差をつけて圧勝。池江調教師の長年の夢も叶いました。
ホースマンが憧れる日本ダービーという大舞台で、最後の直線、馬場の真ん中を一頭だけ軽々と伸びてくる姿はとても美しいです。
華やかなレースだと思います。
ドラマを感じたい人 → ジャパンカップ
ご存知のように、ディープは4歳秋にフランスに遠征して凱旋門賞に出走しました。
レース後にディープの検体から禁止薬物が検出され、失格処分を受けます。
失格処分をめぐっていろいろな批判の声もあり、陣営は窮地に立たされます。
また、天皇賞秋への出走を目指して東京競馬場で調整をしていた時に、金子オーナーから引退の発表がありました。
ディープの状態が戻りきっていないということで、天皇賞秋は回避し、ジャパンカップに出走することになりました。
ジャパンカップで勝てなければ、ファンの人たちに期待を裏切り、これまでの名声も損なわれてしまう。
陣営も武騎手もなんとか勝たせたいという強い気持ちを持って臨んだ一戦でした。
ハーツクライや海外から参戦したウィジャボードなど、手強いライバルもいましたが、見事に優勝。
レース後に武騎手が馬上でバンザイをし、観客もそれに合わせてバンザイをしていた光景はとてもドラマチックでした。
ディープの完成形を見たい人 → 2006年有馬記念
圧倒的な強さで勝ち続けてはいたものの、レース前に落ち着きがなかったり、レース中にかかったり、課題も多かったディープ。
最後の有馬記念でそのような課題をすべて克服して、強い勝ち方を見せてくれました。
翌年も現役を続けていたら、どれほどの強さを見せてくれただろうと思わせてくれるレースでしたね。
ディープの引退レースということで感動される方も多いようなのですが、私は意外とそうでもなくて💦
それまでのハラハラするレースを見てきているせいか、「ふーん」と冷静に見てしまうんですよね。
でも、最後の直線に入る前、体を傾けてすごい勢いでカーブを曲がるところなどは、とても躍動感があります。
やはり強いと実感させてくれるレースでした。
ディープって道悪はどうだったのかが知りたい人 → 宝塚記念
ディープは現役時代14戦していますが、道悪のレースは宝塚記念だけでした。天候に恵まれていたんですよね。
この後凱旋門賞への出走が決まっていて、秋のパリは雨が多いということで、道悪でも走れるかどうかを見極める機会にもなりました。
結果は4馬身差の圧勝。道悪を苦にすることはありませんでした。
レース後の写真を見ると、珍しくディープも武騎手も跳ねてきた泥をたくさん浴びています。
稍重の発表でしたが、武騎手は馬場は稍重より悪かったとおっしゃっていました。
道悪も問題にならなかったので、凱旋門賞への期待も膨らんだ一戦だったのですが。
実は出走前にいろいろあったレースが見たい人 → 神戸新聞杯
ディープは日本ダービーを無敗で制して、夏は休養に入ります。
でも、休養ではあっても、次の大目標である3000mの菊花賞をかからずに走るため、我慢の走りを覚えさせる調教も行われました。
その調教の成果があったのかどうかがわかるのが、神戸新聞杯でした。
でも、ディープの調教を担当していた池江敏行調教助手が書かれた「真相」という本には、大きな心配があったことが書かれています。
夏を過ごした札幌競馬場で、レース前の尻っ跳ねをやめさせたり、指示がないのに他馬の前に出ようとすることをなくすための調教をしました。
その結果、札幌競馬場で過ごす期間が終わりに近づくと、ディープは与えられた課題をこなして、指示通りの走りができるようになっていました。
池江助手も、その時はこれで菊花賞も大丈夫だろうという感触だったそうです。
しかし、栗東トレーニングセンターに戻ってきて、最初の追いきりをした時、前のように動かないディープを見て、愕然としたとのことです。
ディープは我慢の走りを覚えたのではなく、「ああ、走らなくていいんだ」と理解して走らなくなってしまったのはないかと思ったからです。
神戸新聞杯では惨敗も覚悟されていたようですが、結果は2馬身半差の圧勝。
それで、ディープが夏に覚えたことは、「レースと調教を区別すること」だったのだろうと安心されたそうです。
この経緯について詳しくは、池江助手の著書、「真相」をご覧ください。今は古本しかないと思うのですが。
実は大変なコンディションだったレースが見たい人 → 阪神大賞典
この「コンディション」と言うのは、ディープの状態ではなく、馬場や気候の条件です。
阪神大賞典は、阪神競馬場で行われた3000mのレースです。天候は曇り、馬場は稍重でした。
ただ、馬場は稍重と言っても、宝塚記念と違って当日は雨は降っていませんでした。
大変だったのは、強烈な向かい風です。
ただでさえスタミナが必要な長丁場のレースなのに、向かい風に対抗するのに余計に体力が奪われます。
でも、ディープはその条件を克服し、3馬身半差で勝利しました。
他馬に乗っていた騎手は、
「ディープは『お疲れさま』と言わんばかりに、軽々と抜いていった」
と言っていました。
以上でディープインパクトが現役時に出走したレースの紹介を終わります。また文章を追加したり、修正すると思います。
なんだかんだ言いましたが、やはり百聞は一見に如かず。
ぜひ、一度レース映像をご覧ください。もうそれだけでいいです(笑)。
レース映像はYoutubeなど、インターネットにアップされているものの他に、引退時に発売されたDVDで見るのもお勧めです。