6月3日、イギリスのエプソム競馬場で行われた英国ダービー。
ディープインパクト産駒のオーギュストロダンが見事勝利しました!!
英国ダービーは今年で244回を数える伝統のレース。
世界中で現在行われている「ダービー」の手本になっているレースです。
これほどの格式のあるレースを、ディープ産駒が勝てる日が来るとは。
レース映像を何回も見ていますが、未だに信じきれないところがあり、呆然としています。
AUGUSTE RODIN WINS THE BETFRED DERBY! @Betfred #DerbyFestival #オーギュストロダン #ディープインパクト #競馬 pic.twitter.com/1N7qoQ8u8U
— Epsom Downs Racecourse (@EpsomRacecourse) June 3, 2023
オーギュストロダンのこれまでの歩み
ここで、オーギュストロダンのこれまでの歩みを振り返ります。
オーギュストロダンのプロフィール
まず、オーギュストロダンのプロフィールを紹介します。
オーギュストロダン
2020年1月26日生
父 ディープインパクト
母 Rhododendron
母父 Galileo
馬主 M Tabor & D Smith & Mrs J Magnier & Westerberg
A P O’Brien厩舎所属
通算成績(2023年6月11日現在) 6戦4勝
何度も話題になっていますが、オーギュストロダンはディープインパクトのラストクロップの1頭です。
2020年度生まれのディープインパクト産駒の最終世代は、日本に6頭、海外に6頭しかいません。
そのわずか12頭の中から、英国ダービーを制覇する馬が出ました。驚きの一言です。
ディープのラストクロップについて詳しくは、ディープインパクトってどんな馬?をご覧ください。
母のRhododendronもエイダン・オブライエン厩舎に所属していた活躍馬です。
1600m~1800mのGIを3勝しており、英オークスではEnableの2着になっています。
Rhododendronは繁殖牝馬になってから来日し、2019年にディープインパクトと交配。
アイルランドに帰国して誕生したのがオーギュストロダンです。母の初仔になります。
デビューしてからのオーギュストロダン
オーギュストロダンは2022年6月1日、ライアン・ムーア騎手を鞍上に迎えてデビュー。
最後の直線で進路がなくなり、2着になりました。
デビュー戦のほぼ1年後に英国ダービーを制したのですね。
勝ち上がったのは翌月、2戦目のレースでした。
9月10日にアイルランドのLeopardstown競馬場で行われたChampions Juvenile Stakes (GⅡ)で重賞初制覇。
10月22日にイギリスのDoncaster競馬場で行われたFuturity Trophy Stakes (GI)でGI初勝利を挙げました。
この日は重馬場で、陣営は直前まで出走するかどうか検討を続けていましたが、結局は出走し、勝利を収めました。
この後休養に入り、復帰戦を英国の2000ギニーとすることが発表されました。
2歳時のレースぶりから、オーギュストロダンに対する評価はとても高く、英国ダービーの有力候補とみなされていました。
評価の高さはとても嬉しかったです。
でも、3歳になっても強いレースができるとは限らず、期待のなかにも一抹の不安がありました。
そして、その不安が的中してしまったのが、2023年5月6日にNew Market競馬場で行われた英国の2000ギニー。
まさかの12着大敗でした。
ダービー後の陣営やムーア騎手によると、このレースは様々な悪い条件があったということです。
同厩の有力馬、Little Big Bearも14着だったことを考えれば、その言葉通りだったかもしれません。
ちなみに、Little Big Bearも次戦の重賞を見事勝利しています。
2歳でのGI参戦時に陣営が懸念していたように、オーギュストロダンはやはり重馬場が合わない可能性もありますね。
この大敗後も、オブライエン師のオーギュストロダンへの信頼は揺るがなかったそうです。
それまでの評価が高かっただけに、メディアなどの失望が大きかったのもうなずけます。
しかし、前走での大敗を乗り越えて、見事に英国ダービー勝利。
これまでの英国ダービーで、これほどの巻き返しは珍しいとのことです。
ディープインパクト産駒の欧州クラシックでの成績
ここでは、ディープインパクト産駒の欧州クラシックでの成績を振り返ります。
ディープインパクト産駒の英国ダービーでの成績
オーギュストロダンは、英国ダービーに参戦した2頭目のディープ産駒です。
初めて参戦したのは、同じオブライエン厩舎に所属していたサクソンウォリアー。
2018年に英国2000ギニーを制した後、ダービーに参戦しましたが、4着に終わっています。
参戦できたのはわずか2頭でしたが、今回勝利することができてとても嬉しいです。
この2頭のほかに、スノーフォールが同じ競馬場で行われる2400mのクラシックレース、オークスを制しています。
同競馬場での2400m戦に出走したディープ産駒は、この3頭だけです。
エプソム競馬場の2400mのコースは、先日のダービー中継でも「世界で最もタフな2400mのコース」と紹介されていました。
ディープインパクト産駒は、本質的にはこのようなコースは合わないと思います。
でも、2勝4着1回と、良い成績を挙げているのが面白いです。
ディープインパクト産駒の欧州クラシックでの戦績
6頭のディープ産駒が欧州クラシックを制しています。勝利したのは8レース。
イギリス | 2000ギニー、ダービー、オークス |
---|---|
フランス | 1000ギニー、ダービー、オークス |
アイルランド | ダービー、オークス |
欧州クラシック勝利の詳細は以下の通りです。
2012年 | Beauty Parlour
勝利レース: 仏 プール・デッセ・デ・プーリッシュ (1000ギニー) |
---|---|
2018 | Saxon Warrior
英 2000ギニー Study Of Man 仏 ジョッケクルブ賞(仏ダービー) |
2020 | Fancy Blue
仏 ディアヌ賞(仏オークス) |
2021 | Snowfall
英 オークス、アイルランド オークス |
2023 | Auguste Rodin
英 ダービー、アイルランド ダービー |
欧州ではなく、日本に拠点を置く種牡馬としては、本当に素晴らしい実績です。
日本を含むクラシックレースでの成績について、
詳しくはディープインパクト産駒、12世代連続で国内クラシック制覇をご覧ください。
また、スノーフォールの英国オークス制覇については、以下の文章を書いています。
心からの感謝を
今回の偉業達成について、オーギュストロダンに心からの感謝を伝えたいです。
これほどの大きな夢を実現してくれたことに、言葉に尽くせないほどの感謝をしています。
種牡馬入りの関係で、今年で引退ということもあるかもしれません。
また、今後の成績がどのようなものになるかはわかりませんが、何よりも無事に行ってほしいです。
そして、クールモアやオブライエン厩舎の方々、ムーア騎手に感謝します。
ディープインパクト産駒にとっては、英国ダービー制覇のラストチャンスでした。
このような偉業は、やはり経験のある方々の力がなければ難しかったと思います。
もちろんビジネスではあるのですが、一ディープファンとしては感謝の気持ちでいっぱいです。
2000ギニーでの大敗後もオーギュストロダンを信じてくれたオブライエン師とムーア騎手。
特にありがとうの気持ちを伝えたいです。
そして、ディープにも心からありがとうと言いたいです。
ラストクロップのクラシック参戦については、私も強い思い入れがありました。
数少ない産駒では難しいと思いながらも、なんとか勝利を挙げてほしいと思っていました。
日本でライトクオンタムが桜花賞、オークスに出走しただけでも大変なことです。
でも、やはり難しいのかと落ち込んでもいました。
ディープが「落ち込む必要などない」と、ものすごいプレゼントをくれたような気がしています。
心を込めてありがとう、ディープ!!
*2023年7月8日追記
7月2日にアイルランドのカラ競馬場で行われたダービー(GI)で、オーギュストロダンが勝利しました!!
– –
He gives Aidan O’Brien a 100th European Classic victory with @DDFRacing Irish Derby success. A first winner in the race for Ryan Moore @curraghrace#オーギュストロダン | #ディープインパクト | #競馬 pic.twitter.com/y3mzgDjUtL
— Racing TV (@RacingTV) July 2, 2023
事前にいくら有力視されていても、実際に大レースを勝つのは簡単なことではありません。
今回も強風や怪我をした馬が競走を中止した影響があったようです。
そんななかでも見事に勝利したのは素晴らしいです。
英ダービーにも一緒に出走した僚馬のサンアントニオ、どうか安らかに。